オメガ3脂肪酸の脳への効果|記憶力や集中力に対する研究結果

オメガ3脂肪酸の脳への効果|記憶力や集中力に対する研究結果

DHAの認知症に対する予防効果

アルツハイマー病患者の脳組織ではオメガ3脂肪酸が低下していることが明らかになっており、DHAによる認知症予防効果について、大規模なコホート研究や疫学調査研究などが多数実施されています。

その結果、DHAを多く摂取している高齢者は加齢に伴う認知機能の低下が遅延することや、DHAが認知症の発症予防に有効であることが報告されました(※1)。

DHAの認知症に対する予防効果

65歳以上の人を対象にした「Chicago Health and Aging Project(CHAP)」で7年間の追跡調査を行ったところ、魚の摂取によってアルツハイマー病の発症リスクが60%程度低くなることが分かりました。

また、5,000人以上を対象とした「ロッテルダム研究(Rotterdam Study)」の追跡調査でも、魚を食べることで認知症のリスクが60%、アルツハイマー病は70%低下するという結果が報告されています(※2)。

※1:橋本道男. "ω3 系脂肪酸と認知機能." 日本臨床 特集: 生活習慣病と認知機能 4 (2014): 648-656.

※2:下方浩史, and シモカタヒロシ. "認知症の要因と予防." 名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 7 (2015): 1-14.

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EPAのうつ病に対する改善効果

うつ病に対しても、EPAは高い改善効果があることが示された実験結果があります。

2016年に発表されたメタアナリシスでは、うつ病の人に対してEPA含量50%超のオメガ3脂肪酸脂肪酸が投与された場合に効果が有効であり、DHAが中心のオメガ3脂肪酸では効果が得られにくいことが分かりました(※1)。

EPAのうつ病に対する改善効果

オメガ3脂肪酸が女性のうつ症状を予防

オメガ3脂肪酸が、女性のうつ病リスクを低下させると考えられています。

45~84歳の医療従事者の女性32,北フィンランドで実施された魚食とうつ病発症の関係についての調査で、魚食習慣がない女性は、魚を食べる女性に比べてうつ病のリスクが2.6倍高いことが分かりました。

魚を食べない女性は食べる女性よりもうつ病のリスクが2.6倍高い

DHA摂取による攻撃性の制御効果

DHAを摂取することで他者に対する攻撃性が減少することが、研究により明らかにされています。

研究は小学4年生~6年生を対象に実施され、半数の児童にDHAが含まれた食品を食べてもらい、残る半数にはDHA抜きの対照食品を1週間にわたって摂取させました。

その結果、DHAが含まれた食品を食べた群の女子は衝動性が低下し、他者への身体的攻撃が制御されたことが明らかになりました。

DHA摂取による攻撃性の制御効果

オメガ3脂肪酸が中高年の記憶力を向上させる可能性

魚などの食べものやサプリメントからオメガ3脂肪酸を摂取することが、中高年の記憶力や認知力を高める可能性があると、テキサス大学の研究チームが報告しています。

研究では、認知症や脳卒中のない中高年2183人(平均年齢46歳)を対象に、赤血球中のオメガ3脂肪酸濃度と脳の老化に関する認知マーカーの関連性を調査しました。

その結果、中高年の記憶力とオメガ3脂肪酸濃度の関係について、以下のことが明らかになりました。

  1. DHAやEPAが中高年の記憶力に及ぼす影響
  2. DHA濃度が高い中高年は海馬の容積が大きく、記憶力が高い
    海馬は記憶力に深く関わる脳の領域です。DHAの血中濃度が高い人ほど、海馬の容積が大きく、記憶力を維持しやすいことが確認されました。
  3. EPA濃度が高い中高年は抽象的推論能力が優れている
    抽象的推論能力は論理的思考や問題解決力と関連しており、EPA濃度の高さが中高年の認知力全般に良い影響を与える可能性があります。
  4. オメガ3脂肪酸摂取量が少ない中高年は記憶力の低下が見られる
    血中のオメガ3脂肪酸濃度が低い人ほど、記憶力や論理的思考力のテスト結果が低い傾向が確認されました。
DHAやEPAが中高年の記憶力に及ぼす影響

中高年の記憶力維持に向けて

この研究は、中高年の記憶力や認知機能を維持する上でオメガ3脂肪酸の摂取が重要である可能性を示しています。

  • 魚や青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を定期的に食べる
  • DHA・EPA配合のサプリメントで不足分を補う

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取は、中高年の記憶力や認知機能を支える重要な栄養素です。

“肉より魚”を意識した食生活や、DHA・EPA・オメガ3サプリメントの活用によって、加齢に伴う記憶力の低下や集中力の減退を防ぐサポートになる可能性があります。

子どもの記憶力や集中力にオメガ3脂肪酸が与える影響

オメガ3脂肪酸、特にDHAとEPAは、子どもの脳の発達や認知機能に重要な役割を果たす栄養素です。

DHAは記憶力や学習能力の向上をサポートするだけでなく、集中力の維持にも影響を与えることが知られています。

また、EPAも脳の血流や炎症抑制を通して、間接的に集中力や注意力を高める手助けをします。

イギリスの小学生を対象にした研究

イギリスの小学生493人(7歳時の全国調査で読解力が平均以下だった7歳~9歳の児童)を対象に、血中のDHA・EPA濃度と認知機能、行動、さらに集中力との関連性を調査した研究があります。

血液中のオメガ3脂肪酸が低い子どもと高い子どもを比較した結果、認知機能だけでなく集中力の持続や注意力の安定性にも大きな違いが見られました。

  1. 子どもの集中力・記憶力とオメガ3脂肪酸との関係
  2. 低いオメガ3脂肪酸濃度は記憶力と集中力低下に関連
    血中オメガ3脂肪酸が低い子どもは、記憶力テストの得点が低く、集中力が途切れやすい傾向がありました。
    作業記憶や注意力の測定でも同様の結果が確認されています。
  3. 行動面への影響と集中力
    オメガ3脂肪酸濃度が低い子どもは、落ち着きがなく集中力が続かない、感情のコントロールが難しいといった行動上の問題が多く見られました。
    集中力の欠如は学習や日常生活でのパフォーマンスにも影響します。
  4. 男の子でより顕著
    性別による差も確認され、特に男の子ではオメガ3脂肪酸濃度と記憶力・行動、そして集中力の関連がより強く現れました。
    作業記憶や注意力の測定でも同様の結果が確認されています。
子どもの集中力・記憶力とオメガ3脂肪酸との関係

DHA・EPAの摂取が子どもの脳の健康を守る可能性

この研究結果は、子どもの血中オメガ3脂肪酸濃度が認知機能や行動に影響を与える可能性があることを示唆しています。

特に、DHA・EPAが豊富な魚やサプリメントの摂取が、子どもの脳の健康に寄与する可能性が考えられます。

今後は、オメガ3脂肪酸の摂取が子どもの認知機能や行動、集中力の持続などに与える具体的な影響を明らかにするため、長期的な介入研究が必要と言えるでしょう。

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食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、青魚の健康効果やオメガ3脂肪酸・DHA・EPA・DPAについての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士