スマホやパソコンを見ている時間が長くなり、「夕方になると目がしょぼしょぼする」「画面の文字がぼやける」と感じることはありませんか。
ドライアイや視力の衰えは、加齢だけでなく日々の生活習慣からも影響を受けます。
実は、目の健康には食事から摂る「DHA・EPA」が深く関わっていることが、数多くの研究で報告されています。
この記事では、DHA・EPAが視力やドライアイにどう働きかけるのかを、研究データとともに詳しく解説します。
この記事のポイント
網膜に多く含まれるDHAと視力維持のメカニズム
網膜は光を受け取り、視覚情報を脳に伝える神経組織で、私たちの視力を支える最前線です。
その中でも、網膜細胞に存在するDHAは、脂肪酸中の50%以上を占める主要成分です([1][2])。
なぜ網膜には、これほどまでDHAが集中しているのでしょうか。
その理由を、視覚の仕組みとともに解説します。
網膜の最も重要な役割は、「光を感じ取り、脳へ信号を送ること」です。
光を受け取る視細胞(桿体細胞・錐体細胞)の外節膜は、脂質でできた非常に薄い構造を持ちます。
DHAはその膜を柔らかく、しなやかに保つ働きをします([3])。
DHAの分子は非常に長く、炭素鎖に6つの二重結合を持つため、「くねくね」とした形をしているのが特徴です。
この独特の構造が膜を柔軟にし、光刺激を受けたときに信号を素早く伝える神経伝達を助けます([4])。
その結果として、視覚信号の伝達スピードが向上し、動体視力やコントラスト感度の維持に役立つのです。
この特性のため、DHAは「視覚情報処理の効率を支える脂肪酸」と考えられています。
網膜の視細胞は、日々強い光や酸化ストレスにさらされています。
このため、視細胞の外節膜は定期的に新陳代謝を繰り返し、古い膜が分解され、新しい膜が合成されます([5])。
この再生の材料として最も重要なのがDHAです。
さらに、DHAは体内で「ニューロプロテクチンD1(NPD1)」という生理活性物質に変換され、視細胞のアポトーシス(細胞死)を抑える働きを持ちます([3])。
近年では、DHA・EPAを酸化ストレスへの対抗策として捉える研究も進んでいます([6])。
また、近年の研究では、DHAやEPAが眼精疲労の軽減や涙液分泌に関わる可能性も報告されています([7])。
網膜は「脳の一部」とも言われる神経組織であり、情報処理を行う神経細胞が密集しています。
脳もDHAを大量に含み、神経伝達のスピードや正確性に関わることが知られています。
そのため、DHAは目と脳の両方の働きをサポートする栄養素として注目されています。
DHAの摂取が、高齢者の視覚機能に良い影響をもたらす可能性が、ある研究によって示されています。
高齢者のボランティア15名(男性1名、女性14名、平均年齢72歳)に、DHAカプセル(1日あたりDHA540mg)を3カ月間毎日摂取させ、摂取前後の視力の変化を測定しました。
その結果、約67%(15名中10名)に視力の変化が認められ、中には0.7の視力が1.2に向上した例もありました([8])。
これはDHAの摂取によって、網膜や視神経の働きが変化したことによるものと考えられます。
視力を支える網膜には、DHAが豊富に含まれており、その含有率は脂肪酸中の50%以上に及びます。
その理由は、以下のような視機能への多面的な作用にあります。
日常生活で「視力の衰え」を感じたり、目の健康に不安を感じたりする場合、DHAを意識的に摂取することは心強いサポートとなるでしょう。
魚を中心とした食事やサプリメントを上手に活用して、目と脳の健康を守りたいですね。
DHAと眼精疲労|EPAとの相乗効果
最近の研究では、青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPAを摂ることで、眼精疲労のケアにつながる可能性があることがわかってきました([6])。
例えば、DHA・EPAを含む魚油カプセルを、眼精疲労の自覚症状がある被験者に一定期間摂取してもらったところ、「肩・腰のこり」や「イライラ感」といった関連症状に変化が見られたとする研究例も報告されています([6])。
DHAとEPAに加えてルテインやゼアキサンチンを摂取することが、眼精疲労のケアに役立つ可能性も考えられます。
では、なぜDHAやEPAは眼精疲労に効果的だと考えられているのでしょうか。
その主な理由として挙げられるのが、以下の3つです。
DHAやEPAは血液の流れをスムーズにし、網膜や視神経に酸素や栄養をしっかり届けます([3])。
こうして目の筋肉や神経が酸欠状態になるのを防ぐことで、眼精疲労のケアにつながると考えられています。
長時間画面を見ていると、目の細胞は酸化ストレスにさらされます。
DHA・EPAには抗炎症・抗酸化作用があるとされ、網膜細胞へのダメージを抑えるサポートが期待されています([3])。
光刺激や慢性的な疲労で損傷を受けやすい網膜神経節細胞を保護する働きがあるとされています([3])。
これにより、視覚情報の伝達が安定し、目の重さやかすみのケアにつながると考えられます。
さらに、日常生活での工夫も目のケアを後押しします。
例えば、1時間に1回は画面から目を離して遠くを見る、目のストレッチをする、DHAを含む青魚やナッツを食事に取り入れるといった小さな習慣が、慢性的な眼精疲労のケアにつながるでしょう。
ただし、毎日の食事だけでDHA・EPAを十分量、継続的に摂り続けるのは簡単ではありません。
目の健康はDHA単体で守れるか|ビタミンA・Eとの役割の違い
現代のデジタル生活では、長時間のスマホ操作や読書、PC作業によって「なんとなく目がぼやける」「夕方になると視界が重い」など、視機能の疲れを感じることが珍しくありません。
こうした変化に対し、食生活の面から目の健康を支える栄養素として注目されているのが、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミンA、ビタミンEの3つです。
それぞれが網膜・視神経・細胞保護といった別の角度から、目の健康に関わるとされます([9][12])。
では、これらの栄養素はそれぞれどのような役割を担っているのでしょうか。
ビタミンAは、網膜で光を感じる「ロドプシン」という物質の材料になる栄養素です([10])。
そのため、ビタミンAが不足していると暗い場所で見えにくくなったり、目が乾きやすくなったりすることがあります。
また、ビタミンAは加齢による視覚の変化や網膜の健康維持にも関与していることが、研究によって示唆されています([11])。
日本人成人の推奨量は、男性900µgRAE/日、女性700µgRAE/日です。
ただし、ビタミンAは脂溶性で体内に蓄積されやすいため、摂りすぎると過剰症(ハイパービタミン症)になる場合があり、バランスを意識した摂取が必要です。
私たちの目の中の網膜や視神経は、毎日の光の刺激や体内での代謝活動の影響で、少しずつ酸化ストレスを受けています。
ビタミンEは、こうした酸化ストレスから細胞を守る「抗酸化ビタミン」として働きます([13])。
加齢に伴う眼の不調の一因とされる酸化ストレスに対し、ビタミンEを摂取することがケアにつながる可能性があるとされています([12])。
ただし、大量に摂れば確実に防げるというものではなく、科学的には「補助的に目の健康を支える成分」と考えるのが正しい理解です。
ビタミンEの1日あたりの摂取推奨量は、成人男性6.5mg/日、成人女性6.0mg/日です。
サバやイワシなどの青魚やナッツ、植物油など、食品からの摂取を中心に適切な量を意識することが安全な摂取方法といえます。
ビタミンA・Eが「材料補充」や「抗酸化による細胞保護」というレイヤーで働くのに対し、DHAは神経膜の柔軟性を保つ、いわば「構造そのもの」に関わる栄養素です。
つまり、ビタミンA・EとDHAは競合する関係ではなく、異なるレイヤーで目の健康を補い合う関係にあります。
例えば、あるレビュー論文では、抗酸化ビタミン(ビタミンEなど)、カロテノイド(ルテイン・ゼアキサンチンなど)、オメガ3脂肪酸(DHA・EPAなど)を組み合わせて摂ることが、加齢に伴う目の変化へのケアに役立つ可能性が示されています([14])。
つまり、「DHAだけ」「ビタミンAだけ」といった単独の栄養素に頼るのではなく、複数の栄養素を組み合わせて摂ることが現実的なアプローチだといえるでしょう。
ただし、ビタミンA・Eは野菜やナッツから比較的摂りやすい一方、DHA・EPAは魚を中心とした食生活でないと不足しやすい栄養素です。
毎日の食事だけでDHA・EPAを十分に確保できているか、一度見直してみる価値があるかもしれません。
DHA・EPAとドライアイの関係
オメガ3脂肪酸の摂取量が、ドライアイの発症率に関係していることが、アメリカで行われた研究によって明らかになりました。
45~84歳の医療従事者の女性32,470人を対象とした研究では、マグロを1週間に5~6回以上(1回分は113g)摂取した女性は、1回以下の女性に比べてドライアイの有病率が68%低いことが分かりました。
また、オメガ3脂肪酸に対するオメガ6脂肪酸の摂取比率が高いほど、ドライアイの有病率が2倍以上高いという結果も報告されています([15])。
ドライアイ患者518名を対象に行った研究も紹介します。
試験では、ドライアイ患者264名に325mgのEPAと175mgのDHAを含むカプセル1個(500mg)を1日2回投与する「オメガ3群」、254名にプラセボを投与する群に分けました。
3カ月後、オメガ3群の65%、プラセボ群の33%でドライアイ症状の改善が見られたと報告されています([16])。
別の研究では、ドライアイのマウスはオメガ3脂肪酸が不足し、油性の涙液を分泌するマイボーム腺でDHAとオメガ3脂肪酸レベルが著しく低下していることが明らかになりました。
涙が少ないマウスにDHAとEPAを含む魚油を1週間継続して与えたところ、涙液量がほぼ完全に回復し、マイボーム腺中のDHA濃度も約80%多く回復したと報告されています([17])。
あなたは、画面を見ている時間が長い日に「目が乾く」「ゴロゴロする」と感じることはありませんか。
こうした症状に心当たりがある方は、次のセクションで紹介する緑内障や眼圧の研究もあわせてチェックしてみてください。
DHAと緑内障|眼圧管理と神経保護の可能性
日本における失明原因の第1位が、緑内障です。
緑内障は視野を徐々に狭め、視神経をじわじわと蝕む病気で、自覚症状が表れにくいため、気付かないうちに進行しているケースが少なくありません。
近年では、網膜神経節細胞(RGC)への酸化ストレス・炎症・血流低下といった要素が進行に関与していることも明らかになってきました。
そのような背景のもと、DHA・EPAのようなオメガ3脂肪酸が「緑内障や眼圧管理の補助的な役割を果たせるかもしれない」という研究が注目を集めています。
緑内障で最も注意されるのが、眼圧の上昇です。
そのため、緑内障の治療は眼圧を下げる目薬の点眼が一般的です。
ある研究では、1日あたり約1000mgのEPAと約500mgのDHAを3か月摂取した群で、眼圧(IOP)が有意に低下したと報告されています。
この研究では、通常眼圧域の成人であっても、オメガ3補給により平均で0.6mmHgほど眼圧が下がったという結果でした([18])。
ただし、対象はあくまで「正常眼圧域の成人」であり、緑内障患者を主対象とした大規模試験ではありません。
眼圧低下の程度はごくわずかであり、臨床的な効果については、さらなる研究結果の報告を待つ必要があります。
緑内障では、目の奥にある視神経や網膜神経節細胞が少しずつ傷つき、最終的に視野が狭くなることがあります。
この神経の損傷を食い止めることが、目の健康を守るもう一つの大切なポイントです。
近年の研究では、オメガ3脂肪酸(DHAやEPA)が、この神経保護に役立つ可能性があることが示されています。
例えば、ランダム化試験では、シチコリンとDHAを一緒に摂った人で、視野の変化がやや安定する傾向が報告されました([19])。
さらに、観察研究では、血液中のオメガ3脂肪酸が高い人ほど、原発開放隅角緑内障(POAG)の発症リスクが低いという結果もあります([20])。
これは、オメガ3脂肪酸が神経細胞の構造を安定させる、酸化ストレスや炎症によるダメージを軽減する、網膜や視神経への酸素・栄養の供給をサポートするといった働きを持つためだと考えられています。
緑内障対策において、DHA・EPAは「ただ魚を食べていれば安心」という単純なものではありません。
しかし、眼圧に関する初期データ、視神経保護に関する観察データは確実に積み上がってきています。
緑内障によって視野が狭くなる不安を抱える方にとって、DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸による補助的なケアの選択肢を持つことは、自分でできる一歩と言えるでしょう。
DHA・EPAと加齢黄斑変性症|注目される研究データ
加齢黄斑変性症は60歳以上の高齢者に多い疾患で、網膜の中心部にある黄斑部が加齢によってダメージを受け、視覚障害につながることがあります。
加齢黄斑変性症は、視力を大幅に回復させる確立した治療法が少なく、進行を見据えた早期からのケアが重要とされています。
2001年に行われた大規模な症例対照研究では、349名の進行性加齢黄斑変性症の患者と対照群を比較し、脂肪の摂取タイプと発症リスクとの関連が調べられました。
その結果、オメガ3脂肪酸を多く含む魚の摂取量が多いグループほど、進行性加齢黄斑変性症のリスクが低い傾向が報告されています([21])。
一方で、加工食品やスナック類に多い植物性脂肪・一価不飽和脂肪・リノール酸の摂取が多いグループでは、リスクが高い傾向も同時に示されました。
この研究はあくまで観察研究であり、「魚を食べればAMDを防げる」と単純に結論づけられるものではありません。
しかし、青魚由来のDHA・EPAを意識的に摂る食生活が、加齢に伴う目の変化へのケアの選択肢のひとつになりうることを示すデータとして、現在も多くの研究で参照されています。
毎日の食事だけで目に必要なDHA・EPAは摂れるか
ここまで見てきたように、DHA・EPAは網膜の構造維持から眼精疲労、ドライアイ、緑内障、加齢黄斑変性症まで、目の健康の幅広い場面に関わっている可能性があります。
では、青魚を意識して食べてさえいれば、目に必要なDHA・EPAは十分に確保できるのでしょうか。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、n-3系脂肪酸の目標量は成人で1日あたり1.6〜2.2gとされています([22])。
この量を魚だけで満たそうとすると、青魚を毎日続けて食べる必要があります。
しかし、平日の調理時間の確保、魚の下処理や臭いへの抵抗感、外食やコンビニ食が続く日など、実際の生活では「毎日青魚を食べ続ける」ことは簡単ではありません。
たまに食べる日があっても、摂取量にはどうしても波が出てしまいます。
DHA・EPAは体内に長く留まる成分ではないため、こうした「摂れる日・摂れない日」のムラは、目の健康を支える栄養基盤の不安定さにつながりかねません。
DHA・EPAは不飽和脂肪酸の中でも特に酸化しやすい性質を持っています。
魚自体が新鮮でも、加工や抽出の過程で熱が加わると、酸化が進みやすくなります。
サプリメントの原料にも、製造方法によって品質に差が生まれます。
例えば、DHA・EPAの「形態」も吸収率に影響します。
天然の魚油に近いTG型を基準(100%)とした場合、加工により作られるEE型の吸収率は73%にとどまるという報告があります([23])。
形態や抽出方法によって、同じ「DHA・EPA」でも体への届きやすさが変わってくるのです。
このあたりの詳しい基準については、以下の記事でも解説しています。
もちろん、青魚を食事に取り入れること自体はとても価値のあることです。
ただし、「毎日・必要量・新鮮な状態で」の3条件を食事だけで満たし続けるのは、現実的にはハードルが高いのも事実です。
魚料理とサプリメントのコスト・手間を比較した内容は、以下の記事でも詳しく紹介しています。
食事を基本としながら、不足しがちな分をサプリメントで補うという考え方が、目の健康を支えるうえで現実的な選択肢になるでしょう。
よくある質問
Q. DHA・EPAのサプリは、どのくらい飲み続ければ目の変化を感じられますか?
体内の赤血球は約3〜4ヶ月周期で入れ替わるとされており、DHA・EPAの摂取による変化を実感するまでには、同程度の期間を目安に考えるとよいでしょう。
毎日継続して摂取することで、体内のDHA・EPAレベルが徐々に安定していきます。
ただし、感じ方には個人差があり、食生活や生活習慣によっても変わってきます。
まずは3ヶ月程度を目安に、無理なく続けてみることをおすすめします。
Q. 抗凝固薬や血液をサラサラにする薬を服用中ですが、オメガ3サプリは飲めますか?
食品として摂取する範囲では、一般的に問題ありません。
ただし、抗凝固薬や血液をサラサラにする薬を服用中の方は、薬の作用とDHA・EPAの働きが重なる可能性があるため、念のため担当医または薬剤師にご確認されることをおすすめします。
まるごと青魚は食品に分類されますが、服用中の薬がある場合は自己判断よりも専門家への相談が安心です。
Q. 青魚を意識して食べていれば、DHA・EPAのサプリは不要ですか?
青魚を積極的に食事に取り入れることはとても良い習慣です。
しかし、厚生労働省の摂取基準を毎日満たし続けるには、青魚を継続して食べる必要があり、忙しい日々の中では難しいことも少なくありません。
また、DHA・EPAは酸化しやすい成分のため、調理や保存の過程で減ってしまうことも考えられます。
食事を基本としつつ、不足しがちな分をサプリメントで補うことで、より安定した摂取につながります。
DHA・EPA・DPA不足を
サポート
まるごと青魚
90粒入 1日3粒目安
2,980円(税込)
食事だけでは不足しがちな
DHA・EPA・DPAを、
新鮮なまま摂取できるサプリメント。
国産イワシの天然生オイルを
「まるごと」1粒に2尾分
ギュッと詰め込みました。
【参考文献・出典】
[1] 矢澤一良. "ドコサヘキサエン酸 (DHA), エイコサペンタエン酸 (EPA) の生理機能." 日本食品科学工学会誌 43.11 (1996): 1231-1237.
[4] 小林哲幸. "網膜機能におけるドコサヘキサエン酸 (DHA) の役割." オレオサイエンス 6.2 (2006): 77-83.
[6] 川端二功. "n-3 系脂肪酸の眼科領域における新規機能性." 脂質栄養学 23.1 (2014): 17-21.
[14] Rasmussen HM, Johnson EJ. Nutrients for the aging eye. Clin Interv Aging. 2013;8:741-8.
[22] 江崎治, et al. "n-3 系多価不飽和脂肪酸の摂取基準の考え方." 日本栄養・食糧学会誌 59.2 (2006): 123-158.