まるごと青魚

オメガ3のアレルギーへの改善効果

オメガ3のアレルギーへの改善効果

アレルギーとは?体が“過剰に反応”するメカニズム

アレルギーとは、体にとって本来は無害なもの(花粉、ダニ、食べ物など)に対して、免疫が“異物”とみなして過剰に反応してしまう現象のことです。

アレルギーの代表的な症状には以下のようなものがあります。

  • 鼻水・鼻づまり・くしゃみ(アレルギー性鼻炎、花粉症)
  • 目のかゆみや充血(季節性アレルギー)
  • 皮膚の赤みや湿疹(アトピー性皮膚炎)
  • 胃腸の違和感(食物アレルギー、腸管アレルギー)
  • アレルギーとは

こういった症状の背景には、ヒスタミンやロイコトリエンといった「炎症性メディエーター(化学伝達物質)」が関与しています。

これらはアレルギー発作の引き金になる物質です。

オメガ3脂肪酸とは?―DHA・EPAの働きと免疫への作用

「オメガ3脂肪酸」とは、体内で合成できない必須脂肪酸の一つで、食事から摂る必要があります。代表的なオメガ3には以下の3種類があります。

名称 主な特徴 主な食品
EPA(エイコサペンタエン酸) 抗炎症作用。免疫・血管の調整に寄与 青魚(イワシ、サバなど)
DHA(ドコサヘキサエン酸) 脳や神経系の構成成分。免疫バランスにも寄与 サーモン、マグロなど
αリノレン酸(ALA) EPA・DHAの前駆体。植物油に含まれるが変換効率は極めて低い(5%未満) 亜麻仁油、エゴマ油など
オメガ3脂肪酸の代表的な種類

アレルギーや花粉症、アレルギー性鼻炎などに悩む人が増える中で、オメガ3脂肪酸が注目されています。

中でも、魚に多く含まれるDHA・EPAには「炎症を抑える作用」があり、アレルギーの諸症状を和らげる可能性があるとされています。

オメガ3が花粉症やアレルギー性鼻炎に効果的なのはなぜ?

アレルギー症状の原因となるヒスタミンやロイコトリエンは、オメガ6脂肪酸(リノール酸)由来のアラキドン酸から作られます。

これに対し、オメガ3脂肪酸は炎症を引き起こさないメディエーターを生成する性質があります。

つまり、オメガ6が「火をつける油」なら、オメガ3は「火消しの油」と言えるでしょう。

オメガ6は必要な脂肪酸ではありますが、現代人は過剰摂取になりやすい傾向があります。これが慢性炎症やアレルギー体質の背景要因と考えられています。

オメガ3は「アレルギー体質の暴走」を食い止める

アレルギー反応の中心には「Th2(ティーエイチツー)細胞(ヘルパーT細胞2型)」という免疫細胞が存在します。

Th2細胞が活発化すると、IgE抗体(アレルギー反応に深く関与する抗体の一種)が過剰に産生され、マスト細胞(肥満細胞)が刺激されてヒスタミンを放出。

これが、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状を引き起こすのです。

アレルギー症状のメカニズム

オメガ3脂肪酸はTh2の暴走を抑え、逆に炎症を抑える方向に働く「Th1型免疫」とのバランスを整えてくれます。

結果として、アレルギー反応が出にくい、安定した免疫状態に導いてくれると期待されているのです。

オメガ3から作られる“消炎スイッチ”「SPM」

さらに近年の研究では、EPA・DHAが体の中で変化して作り出すSPM(エスピーエム)という物質にも注目が集まっています。

SPMは、「Specialized Pro-resolving Mediators」の略で、炎症の収束を促進させる役割を果たします。

SPMの最も特徴的な働きが、感染やアレルギーなどに伴う炎症反応を収束させ、組織ダメージを最小限に抑えるというものです(※)。

  • SPMの主な働きとは?
  • 炎症の原因となる物質の働きを調節し、反応の長期化を防ぐ
  • 傷ついた組織の修復プロセスをサポート
  • 免疫細胞(マクロファージなど)の働きを調整し、不要な炎症物質や老廃物を除去する
  • SPMの主な働き

つまり、EPAやDHAは、炎症を“抑え込む”だけでなく、“終わらせる”役割を担っているということです。

花粉症やアレルギー性鼻炎では、くしゃみ・鼻水・目のかゆみといった症状が、過剰な炎症反応が長引くことによって悪化します。

SPMの働きによってこの炎症の持続が防がれれば、症状の重症化や慢性化を防ぐ可能性があると考えられています。

花粉症対策は「早めのオメガ3補給」から

花粉症はシーズンに突入してから対処しても効果が限定的になることがあります。

そのため、症状が出る1~2か月前からオメガ3を意識的に摂ることで、体内の炎症反応を穏やかに保ち、症状の悪化を防ぐ助けになります。

食事からの摂取が難しい場合は、EPA・DHAを含むサプリメントの活用も検討しましょう。

特に、魚をあまり食べない方や外食中心の方にとっては有効な手段です。

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オメガ3とオメガ6とのバランスがカギ

現代人の食生活は、加工食品や植物油の摂取によりオメガ6脂肪酸(リノール酸)過多になりがちです。

オメガ6は炎症を助長する可能性があり、オメガ3とのバランスが崩れるとアレルギーが悪化するとも考えられています。

オメガ3とオメガ6とのバランスがカギ

健康維持のために理想なバランスは、オメガ6:オメガ3=4:1以下。この割合を意識することで、免疫系が整いやすくなります。

アレルギーや花粉症に悩んでいる方は、毎日の食事に青魚やオメガ3系オイルを意識的に取り入れてみましょう。

食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、青魚の健康効果やオメガ3脂肪酸・DHA・EPA・DPAについての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士