オメガ3とは?肌への美容効果
オメガ3脂肪酸とは、α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)といった多価不飽和脂肪酸の一種です。
人の皮膚は、細胞膜・皮脂・角質層のすべてに脂質が関わっており、特にオメガ3の不足はバリア機能の低下や乾燥・炎症の誘発など、皮膚の構造そのものに影響を与えることがわかっています。
明らかになったオメガ3の「肌への効果」
最近の研究では、オメガ3の抗炎症作用や細胞レベルでの肌修復効果が解明されつつあり、以下のような点でスキンケアでは補いきれないインナーケアの重要性が注目されています。
オメガ3脂肪酸は皮膚の細胞膜の柔軟性を保ち、うるおいを内側からキープする力を高めます。これにより、乾燥しにくく、しっとりとした質感の肌を維持しやすくなります。
オメガ3脂肪酸の摂取と皮膚ダメージの関係性について、マウスを対象に研究が行われました。
研究では、マウスにUV-B(紫外線)を照射して、紫外線による皮膚表面の破壊と修復について検査。
その結果、オメガ3脂肪酸を投与したマウスは、そうでないマウスに比べて表皮からの過剰な水分蒸発が抑制されていることが示唆されました。
皮膚の保湿機能には、セラミドの構成要素であるリノール酸(オメガ6系)も重要ですが、オメガ3脂肪酸はその働きを補完し、炎症を抑えることでバリア機能をサポートします。
オメガ3脂肪酸を摂取することでセラミドの働きを補完し、角質層の水分保持機能が保たれたと考えられるでしょう(※1)。
オメガ3脂肪酸は、体内に入ると「リゾルビン」や「プロテクチン」といった特別な“抗炎症物質”に変化します。
これらの物質は、炎症をただ抑えるのではなく、体が自然に炎症を終息させる(静かに収める)働きをサポートすることがわかってきました。
たとえば、ニキビや肌荒れのような「くすぶる炎症」に対して、スイッチをオフにして静かに落ち着かせるようなイメージです。
このように、オメガ3は体の内側から炎症バランスを整え、肌トラブルを根本からケアできるのが大きな特徴です。
実際、オメガ3脂肪酸はアトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性炎症性皮膚疾患に対して抗炎症作用を示すことが報告されています(※2)。
一部の研究では、ニキビに対しても魚油サプリメントを摂取することで症状が改善された例が発表されました(※3)。
市販のスキンケア製品では届かない“炎症の根本”にアプローチできるのが、オメガ3の大きな強みといえるでしょう。
血行が悪いと、肌に十分な酸素や栄養が届かず、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)が停滞。その結果、顔色がくすんだり、透明感が失われたりする原因になります。
オメガ3脂肪酸、特にEPAは、血小板の凝集を抑えることで血液をサラサラに保つ作用があり、末梢の毛細血管までスムーズに血液が流れるようになります。
これにより、肌細胞への酸素・栄養の供給が活性化され、肌の代謝をサポートし、くすみの要因となる血行不良の改善に役立つ可能性が示唆されました。
また、複数の研究で、EPA・DHAの摂取により高血圧や高脂血症の患者において血管の柔軟性や末梢血流が改善されたという結果が報告されています(※4,5)。
こうした循環改善が、肌の血色感や代謝にも良い影響を与える可能性が考えられるでしょう。
オメガ3が足りないと肌荒れや乾燥肌に?
最近「スキンケアを頑張っても肌荒れが治らない」「冬だけでなく年中乾燥する」といった悩みが増えています。
実はその背景には、食事から摂る脂質の“質”の偏り=オメガ3脂肪酸の慢性的な不足が深く関係している可能性があるのです。
私たちの身体は、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸を1:1〜4:1のバランスで摂ることが理想とされています。
しかし現代の食生活では、
などにより、オメガ6ばかりを過剰に摂取しやすく、一方でオメガ3の摂取量は著しく不足しているのが実情です。
オメガ6(特にリノール酸)が過剰になると、以下のような症状が出やすくなります。
その一方で、オメガ3を多く含む魚や亜麻仁油などの摂取量は圧倒的に少ないため、知らず知らずのうちに炎症が起こりやすい体質=肌荒れしやすい状態に傾いている人が多いのです。
これらに当てはまる方は、オメガ3を意識的に摂ることで体の内側から炎症体質をリセットし、肌荒れを根本からケアする第一歩となります。
オメガ3を毎日摂って美肌を目指そう
魚油に多く含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)には、肌のうるおい保持、皮膚バリア機能の強化、炎症の鎮静、紫外線ダメージの軽減など、さまざまな美容メリットが科学的に示されています(※6)。
特に以下のような悩みがある方には、オメガ3の摂取が非常におすすめです
肌トラブルに悩んだら、外側だけでなく「脂質の質」にも目を向けてみませんか?
インナーケアで、素肌の力を引き出しましょう。
【参考文献・出典】