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DHA・EPAだけではもったいない?第3のオメガ3「DPA」が持つ血管修復力とは

 DHA・EPAだけではもったいない?第3のオメガ3「DPA」が持つ血管修復力とは

オメガ3脂肪酸といえば「DHA」や「EPA」が有名ですが、実はもう一つ、非常に重要な成分が存在します。

それが「DPA(ドコサペンタエン酸)」です。

「第3のオメガ3」DPA(ドコサペンタエン酸)とは?

DPAは、構造的にはEPAとDHAの中間に位置する脂肪酸です。

自然界ではアザラシの油(シールオイル)に多く含まれることが知られていますが、実は私たちが普段食べているイワシやサケなどの魚油にも含まれています。

しかし、これまでのサプリメント業界では、知名度の高いDHAとEPAばかりが注目され、DPAはその影に隠れて「その他」の成分として扱われてきました。

ところが近年の研究で、このDPAにはDHAやEPAにはない、独自の驚くべきパワーがあることが明らかになり、「第3のオメガ3」として世界中の研究者から熱い視線が注がれています。

「第3のオメガ3」DPA(ドコサペンタエン酸)とは?

EPAの10倍以上?DPAの「血管を修復する力」に注目

DPA最大の特徴として報告されているのが、「血管内皮細胞の遊走能(ゆうそうのう)」を高める働きです。

血管は加齢や生活習慣の乱れによって傷つきますが、私たちの体にはその傷を治そうとする力が備わっています。

血管の内側の細胞が、傷ついた場所に移動して修復することを「遊走」と呼びます。

国立健康・栄養研究所の研究者らによる報告によると、この血管内皮細胞の遊走効果において、DPAはEPAの10倍以上の効果を示したというデータがあります[1]。

一般的に「血液サラサラ=EPA」というイメージが定着していますが、実は血管そのもののケアや修復力という観点では、DPAが極めて重要な役割を果たしている可能性があるのです。

EPAの10倍以上?DPAの「血管を修復する力」に注目

DHA・EPAの効果を「底上げ」するDPAの働き

DPAのすごさは単独の効果だけではありません。体内に入ったDPAは、必要に応じてEPAやDHAへと変換されることも分かっています(レトロコンバージョン等)。

また、DPAが体内に存在することで、EPAやDHAが体内で利用されやすくなるという、いわば「サポート役」や「底上げ役」としての機能も示唆されています[2]。

つまり、DHAやEPAを単体で摂るよりも、「DHA・EPA・DPA」の3つをセットで摂取するほうが、オメガ3脂肪酸全体の恩恵を余すことなく受け取れる可能性があるということです。

DHA・EPAの効果を「底上げ」するDPAの働き

なぜ一般的なサプリメントにはDPAが少ないのか?

「そんなにすごい成分なら、なぜ普通のサプリにはあまり入っていないの?」と思われるかもしれません。

その理由は、一般的な魚油(フィッシュオイル)サプリメントの「製造方法」にあります。

多くのサプリメントは、DHAやEPAの濃度を高めるために、「煮沸」や「蒸留」といった高温での加熱処理や、化学的な精製工程を経ています。

この過程で、DHA・EPA以外の成分は不純物として取り除かれたり、熱によって変性してしまったりすることが多いのです。

特にDPAは微量成分であるため、高純度に精製された(人工的な手が加わった)サプリメントほど、DPAが含まれていないという皮肉な現象が起こります。

なぜ一般的なサプリメントにはDPAが少ないのか?

だからこそ、魚そのものが持つ栄養バランスを崩さない「非加熱」や「まるごと」の製法が重要になります。

自然のままの魚油であれば、DHA・EPAだけでなく、貴重なDPAも失われることなく摂取することができるのです。

【参考文献・資料】

[1]:Kanayasu-Toyoda, Toshie, Ikuo Morita, and Sei-itsu Murota. "Docosapentaenoic acid (22: 5, n-3), an elongation metabolite of eicosapentaenoic acid (20: 5, n-3), is a potent stimulator of endothelial cell migration on pretreatment in vitro." Prostaglandins, leukotrienes and essential fatty acids 54.5 (1996): 319-325.

[2]:Kaur, Gunveen, et al. "Docosapentaenoic acid (22: 5n-3): a review of its biological effects." Progress in lipid research 50.1 (2011): 28-34.

まとめ

  • DPAにはDHAやEPAにはない独自の驚くべきパワーがあることが明らかになり、「第3のオメガ3」として注目されている
  • 血管内皮細胞が傷ついた場所に移動して修復する「遊走」効果において、DPAはEPAの10倍以上の効果を示したというデータがある
  • DPAは必要に応じてEPAやDHAへと変換されたり、EPAやDHAの「サポート役」や「底上げ役」としての機能も示唆されている
  • DPAは高温での加熱処理や化学的な精製により、変性してしまったり取り除かれたりするため、含まれていないサプリメントも多い

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食品保健指導士・管理栄養士 古本 楓

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

食品保健指導士・管理栄養士

古本 楓

食品保健指導士・管理栄養士としての知識を交えながら、青魚の健康効果やオメガ3脂肪酸・DHA・EPA・DPAについての情報をお届けいたします。

【資格】
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
 食品保健指導士
管理栄養士